天秤打法(てんびん だほう)は、元大洋ホエールズ(引退年の1年間は近鉄に在籍)で活躍した「近藤和彦」のバッティングフォームの名称です。

近藤和彦は現役引退後には、日ハム・大洋・韓国などの球団で打撃コーチ・作戦コーチ・ヘッドコーチ・監督や野球解説者を歴任して、2002年に66才で多臓器不全で亡くなりました。

同期にはミスターこと「長嶋茂雄」がいてミスターも認めるレジェンド選手なんですね。

ファーストと外野を守り、プロ野球界ではその天秤打法でリーグ優勝にも貢献し「安打製造機」と呼ばれていました。

元巨人の「篠塚和典」が安打製造機と言われる以前の「元祖!安打製造機」なんです。今で言えば「ヒットメーカー」ですね。

今回はそんな天秤打法の真相に迫りたいと思います!

近藤和彦

天秤打法の終焉 ・・・

当時の昭和プロ野球界で、独特のフォームと実績を重ねて人気選手だった「近藤和彦」です。

1973年(昭和48年)に近藤和彦が現役を引退して、天秤打法は終焉を迎えました。

天秤打法は「近藤和彦で始まり、近藤和彦で終わったまま」なんですね。

そんな魅惑の天秤打法は、40年以上も次の使い手がいないままなんです。

現代のプロ野球でも、天秤打法と表現される”比喩表現”のバッティングフォームはあっても、実際には天秤打法ではなく、バスターに近い打法です(天秤バスターとも言われます)

ようは「天秤打法が最終形」でなく「タイミング・トップ・スイング軌道などを模索して修正をするための」バッティング動作の修正打法なんです。

※ 個人的には2017年10月6日の「松本哲也」の引退は残念でした TT

天秤バスター

天秤打法の終焉から14年後 ・・・

週刊少年マガジンで、1987年11月4日号(第47号)から新連載の漫画がスタートしました。

それが「名門!第三野球部」です。

当時はまだ、ネットもなければ家庭にやっと「VHSビデオ」が普及して浸透し始めの時代です。

近藤和彦の天秤打法を知らない野球少年たちに、天秤打法を広めた野球漫画が「名門!第三野球部」でした。

今読み返せば、バッティング理論は完全にガバガバですが(笑)

しかし第三野球部は、野球に対する熱い気持ちや感動シーンがあり、今でも野球漫画の名作と言えると思います。

現在は「グラゼニ・ダイヤのA・メジャー・大きく振りかぶって」など色々と野球漫画も豊富です。懐かしい昭和の名作の野球漫画としては ・・・

名門!第三野球部・わたるがぴゅん!タッチ(あだち充の他作品)アストロ球団など魅力的な作品が多いですよね。

【売り切れ御免!】全巻セットが3150円~名門!第三野球部の漫画(楽天)

第三野球部

天秤打法のデマ

近藤和彦の天秤打法は、かついだバットでタイミングを取ると、そのままトップに入ります。

しかし第三野球部の影響から、近藤和彦の天秤打法を「バットを上に放り、バットを掴んでからバットを振る」と記載してあるサイトもあります。

どう考えてもこれではタイミングは取れません。あくまでも漫画の中での描写になります。

近藤和彦の実際の映像でもバットを上に投げてはいません。

天秤打法

第三野球部の天秤打法

甲子園出場を決めるも、予選大会で「36打数1安打」と1人だけ打撃で活躍できなかった”桜高校第三野球部”の「石井幸司」は、甲子園前に天秤打法の使い手で県内のライバル校である”黒潮商業”の「土屋秀夫」に天秤打法を教えて欲しいと懇願しますが断られてしまいます。

しかし石井は、天秤打法を教えてもらう条件にした”ある物”と引き換えに天秤打法を伝授してもらいます。

天秤打法の伝授

土屋から伝授された天秤打法で、一回戦から念願の甲子園初ヒットを放つ石井です。

二回戦ではサヨナラの場面で打席が回りますが、プレッシャーでガチガチになってしまいます。

しかし、ずっと「学業に専念しろ!」と野球に反対していた父親が応援に来ている事を知り、気持ちに火が付きサヨナラヒットを放ちます。

このサヨナラヒットを見ていた土屋は、石井の天秤打法が本物になったと認め、桜高校に欠かせない安打製造機に成長していきます。

第三野球部

個性的なバッティングフォームの高校球児たち

野球漫画でも大きくフォーカスされる「天秤打法」です。

しかし現在では、このバッティングフォームで打つ選手はいません。

この天秤打法を使う甲子園球児が出れば、スタンドは大盛り上がりで人気球児間違いなしの打法なんです!

記憶に残る高校球児の個性的なバッティングフォームと言えば、ダンゴムシ打法、カット打法、ヘリコプター打法、逆一本足打法、バビー打法などが思い出されます。

個性的なバッティングフォーム


① ダンゴムシ打法(2000年夏の甲子園 / 那覇高・比嘉忠志さん)

ダンゴムシ打法小学生からずっとファーストしか守ったことがなかったと言う比嘉選手は、高校で後輩にポジションを奪われてしまいます。

それからは代打専門になり、キャッチボールもせずにバッティング練習だけに時間を費やしていきます。

ある日、監督の知り合いから前屈みになるバッティングフォームを伝授されます。

抵抗はあったと言うものの、ボールが見やすく飛距離が出たという事でダンゴムシ打法を習得しました。


② カット打法(2013年夏の甲子園 / 花巻東・千葉翔太さん)

カット打法監督から「2番打者の役目として打率よりも出塁率」と言われ続け、フライでなくゴロを打つ意識で上位打線につなげる思いから「カット打法」へと行きつきます。

甲子園では賛否あり、主審から「意図的なカットはバントとみなす」と注意を受けます(高野連の正式なルール)

これにより準決勝の「延岡学園戦」では、スリーバント失敗でアウトにならないためにカットを封印し、4打数無安打になりチーム自体も敗退します。それにより付いたあだ名が「悲運のカットマン」です。


③ ヘリコプター打法(2016年春の甲子園 / 滋賀学園・馬越大地さん)

ヘリコプター打法タイミングを取るために、頭上でバットをグルグル回す姿から「ヘリコプター打法」と言われます。

バットを回す度にスタンドから大きな歓声が上がる「ヘリコプター打法」は、さらにタイミングを取りやすいように、回転を速めて「新型ヘリ」へと進化しました。

現在は日大に進学し同校野球部に在籍しています。大学野球では速球のスピードへの対応や木製バットと言うこともあり「ヘリコプター打法」を封印していますが、ヘリコプターが再度テイクオフする日は来るのでしょうか?


④ 逆一本足打法(2016年 / 和光高校・室橋達人さん)

逆一本梨打法軸足への体重移動を苦手として試行錯誤の末に編み出した「逆一本足打法」です。このままスイングするではなく、タイミングを計り一度軸足を下げてバッティングに入ります。

監督は最初はふざけているのか?と思ったけど本人は真剣だったと語ります。それからは「逆一本足打法」を取り入れて、公式試合では、逆一本足打法で見事にヒットを放ち話題になりました。

室橋選手が話題になったのはそれだけではありません。部活の野球だけでなく、ロン毛球児のバンドマンと言うことも世間に衝撃を与えました。当時の和光の4番は松崎しげるの長男でした。


⑤ バビー打法(2015年 / 滑川総合・馬場優治さん)

バビー打法バットをヌンチャクの様に回したり、漫画ドカベン「殿馬一人」の「秘打・白鳥の湖」の構えなどで一躍話題になりました。

ヌンチャク打法、秘打・白鳥の湖、夜叉の構えなど言われますが、あえて名前から「バビー打法」と命名しました。

個性的な打法ですが、あくまでもバッティング自体に関係がない「バッティング前のパフォーマンス」になります。

高校に取材が殺到したものの学校側は取材NGで、県高野連からは「遅延行為等」で注意を受ける結果となりました。

個性的なバッティングフォームについて

個性的なバッティングフォームとは、あくまでもクセの矯正であったり、長所を伸ばした結果になります。

神主打法は後ろの肘を抜く工夫、振り子打法はボールを強く弾くために前足を振り、一本足打法はタイミングを掴むためなど試行錯誤した末のバッティングフォームです。

個性的なバッティングフォームは、個人のバッティングの進化系の形になります。

ですので、個性的なバッティングフォームは「基本のバッティング」が身に付いた結果に作り上げられたフォームだと知っておいて下さい。

その上で、あえて「天秤打法」を身に付けたい選手のためにバッティングフォームを掲載しておきます。私個人としても魅惑の「天秤打法」を実際に見てみたいものです。

天秤打法

天秤打法の誕生!

近藤和彦は「平安高校 ⇒ 明治大学」で野球をしてプロ入りをしました。

天秤打法を身に付けたのはプロ入りしてからです。

プロ入り直後の春季キャンプで、プロの速球に対応出来ませんでした。

そして、後に野球殿堂入りを果たす「青田昇」に「そんな非力な構えじゃプロのボールに負ける」と指摘されてバッティングフォームを試行錯誤していきます。

子どもの頃に剣道をしていた近藤和彦は、剣道の面の構えからヒントを得てスイングを開発していきます。

そして剣道の縦振りから、徐々に野球の水平のスイングにして天秤打法を完成させます。

バットを両手で担ぐように構えると、楽に脱力してバットが振れると気付きます。

力みのない構えからトップに入ることにより、トップでも無駄な力みが取れてスムーズなスイングを身に付けました。

天秤打法のメリットは、力みのないバッティングフォームで、無駄な力みを取ったスイングからインパクト時に力を入れられる事にあります。

最初から力んだ構えならば、バットのヘッドスピードが上がりません。近藤和彦は、天秤打法でその力みが入るスイングを改善したんですね。

近藤和彦は天秤打法のバットの構えは「傘を持つ様な感覚で軽く握る」と説明します。

傘の様に持ったバットを寝かせた形が天秤打法の構えだと言います。

近藤和彦

近藤和彦の天秤打法!

① バットを両手で担ぐ様に構えます。前の手はグリップを握り、後ろの手はバットを支える程度です。
② 一度目のタイミングをシンクロさせます。その動作は一度バットを上に持ち上げる動作です。
③ タイミングを計りトップへとグリップを移動させていきます。
④~⑤でトップを作っていきます。

天秤打法のバッティングフォーム1

⑥ トップが完成します
⑦ スイングを開始します
⑧ インサイドアウトの綺麗なレベルスイングです
⑨ インパクト
⑩ フォロースルーへ

天秤打法のバッティングフォーム2

近藤和彦のバッティングの特徴は「トップの高さの位置が低い」ことですが、低いトップからそのままミートポイントまで最短にバットを出しているので、スピードに負けない工夫だと推測されます。

天秤打法を身に付けるには、トップからスイングまでは通常のバッティングフォームになります。天秤打法だからと言って特別な動作はありません。

天秤打法では「構え~トップまで」が独特なフォームになります。

このバットを担ぐ動作により、余計な力が抜けて力みのないトップが作れます。

天秤打法

天秤打法のメリットは!?

天秤打法のメリットは、先述した様に力まない構えですがまだあります。

まずは、トップへの動作に時間がかかるために、タイミングを早く取らないといけません。

逆に言えば、早い段階でタイミングを取れるという事になります。デメリットでもありメリットでもあると言えます。

次に、近藤和彦の天秤打法はトップ時にバットを立てたフォームです(上記画像⑤~⑥)

これをもう少しバットを寝かせる様にすることで、スムーズにバットが出て、自然なトップを形成することが出来ます。

いわゆる「バスター打法」です。

バスター打法は、バントの構えでミートポイントを確認してから、バットを引きそのままスイングをします。

ミートポイントまでスムーズに振れるバットの軌道が作れるために無駄な動きがなくなります。

逆に、近藤和彦の天秤打法はバットを立てていますので、より強い打球を打つ事も考慮されていたのでしょう。

近藤和彦の天秤打法はバットを立てて、一般的なバスター打法はバットを寝かせるという違いがあります。

そう考えると、天秤打法とバスター打法は全くの別物になります。

天秤打法は、トップからは一般的なバッティングフォームですので、メリットに注目するとすれば「構え~トップ」になります。

  1. 本人にとってタイミングが取りやすい
  2. 無駄な力を抜いた構えができる

というこの2つが大きな特徴とメリットでしょう。

天秤打法をマスターするには!?

じゃあ、別に天秤打法じゃなく「バスター打法」でいいじゃんwww

そんな声が聞こえてきそうですが、天秤打法の方が断然にカッコいい!そしてロマンがあるんです(笑)!

天秤打法は、まさに担いだバットが「天秤」に見えることが重要なんです!

天秤打法をマスターするには、バットを担ぐ動作からトップへの入りが大切になります。

力まないでタイミング良く「深くスムーズなスイングが出来る」トップを作ることですね。

松本哲也(元巨人)などの中途半端な天秤バスターや、細川亨(現楽天)の様なガチバスターじゃなくて、近藤・土屋・石井の様な本当の天秤打法が見たいんです!

天秤打法の極意は「力みのない構え~トップが作れる」ことにあるんですね。

バットを構える時にどうしても力んでしまう… そんな場合に天秤打法を試してはいかがでしょうか???

少年野球のバッティング上達で一番大切な事とは?

バッティングが7日間で上達するDVD


バッティングで一番大事なことを教えてくれる野球DVDです。

西武ライオンズで活躍した「垣内哲也」と「大塚光二」がプロの技術・知識・修正法・指導法を教えてくれますよ。

実践者の中には強豪校でレギュラーを取ったり、甲子園で活躍したりと実績もNo.1なんです!

バッティング上達

メジャー仕込みの内野守備上達DVD


日本プロ野球・メジャーリーグ日米で活躍する現役プロ野球選手「川﨑宗則」が直伝してくれる実践守備マスタープロジェクトのDVDです。

内野守備が上達したい!レギュラーを捕りたい!など二遊間やサード上達の近道になるDVDなんですよ。

野球守備

投稿者プロフィール

快音ドットコム

野球に関するお役立ち情報を掲載しています。少しでも野球上達のヒントになれば幸いです。よろしくお願いします ^^ /
人気記事 >> バッティング基本講座!全6回 <<